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心の構造②―「業」(潜在意識)
意思とは無関係に出てくる記憶
前回までで、
「人間は記憶でできている」と述べました。
過去の嬉しかったこと、悲しかったこと、楽しかったこと、だまされたこと、ほめられたこと、
辛かったこと、痛かったことなど、無数の出来事の記憶は、
すべてあなたの中に保存されているのです。
いわば、細胞に刻み込まれているのです。
このような記憶は、言葉を換えれば「潜在意識」とも呼べます。
また、この記憶は昔から宗教などで「業」や「カルマ」と呼ばれてきたものに相当します。
ここでは伝統的に深い意味を込められて使われてきた「業(カルマ)」という言葉を用います。
日本語で「あの人は業の深い人だ」と言うことがありますが、その「業」です。
つまり、私たちの心は、地層でたとえるならば、まず「頭」という観念の層があり、
その下に「業」という潜在意識の層があるという二層構造になっているのです。
そして、この業の心には、
普段は意識されないような過去の膨大な記憶が刻み込まれています。
その記憶は、私たちの外界(心という内界に対し、目に見える外側の世界)に、
その記憶が刻み込まれた時に体験したことと似たような状況が現れた時、
その刺激によって引き出され、ふと頭に湧き上がってきます。
この反応は、ほとんど自動的に起こります。
つまり、先に話した、ふと湧き上がってくる「すでに思っている心」は、
まさにこの業、カルマといった過去の記憶から来るのです。
今、この本をあなたが読んでいる瞬間も、
この業の記憶が湧き上がってきています。
もし、過去に心理や精神世界についての本を読んで元気づけられたり
勇気づけられたりしたことがあれば「この本も元気を与えてくれるだろう」
といった思いが湧いてきます。
もし、過去、心について書かれた本を読んで結局だまされたと感じたことがあれば
「この本も同じではないか」といった思いが、自動的に湧いてきているはずです。
人によって皆、違う思いが今この瞬間も湧き上がってきています。
今、あなたの心にどういう思いが湧いてきているか、見つめてみてください。
それがまさに過去の記憶、業によるあなたの反応です。
そして、この記憶は、頭で自覚的に覚えている記憶より格段に力が強いのです。
ですから、業の心に、マイナスの記憶が多ければ、
当然そのマイナスの業に支配された心が出来事の捉え方やそれに
対する反応に表れてくるわけです。
たとえば、過去に人前で話をして失敗して大恥をかいた記憶が刻まれると、
スピーチを頼まれる度にその苦い記憶がよみがえって、
また失敗を繰り返す場合があります。
「あがるまい、あがるまい」と自己暗示をかけたところで、
過去の体験に伴って心に深く刻み込まれた心の強さにはかないません。
また、たとえば女性が若い頃に父親に強烈な恨みを持つと、
一生涯、男性不信になってしまう場合もあります。
このような、過去の忌まわしい体験などの強烈な心の傷を、
心理学では「トラウマ(精神的外傷)」といいます。
これも業のレベルに刻み込まれた記憶だと理解できるのです。
そして、過去の記憶であるこの業の心が、外界(現実世界)
の出来事に対するあなたの反応を決め、あなたの人生を決定しているのです。
だからこそ、この潜在意識である「業」という過去の記憶に手を付けなければ、
人生の問題の根本解決は不可能なのです。